【2:218】ラノロワ仮完結作品投下スレッド
- 1 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/05/25(水) 19:44:34 ID:vP/xCASw
- したらば雑談スレの>>905であんなこといってたわけですが。
無様に前言撤回。出来たものから小出しにしていきます。
↓以下言い訳タイム。読んでも時間が無駄になるだけです。
というのも、制作が遅々として進まないわけです。 人数が多くなるとそれぞれのキャラが動かしにくい、というのもあるんですが、 本質的に私の制作方法に問題があるんじゃねーかと最近思い始めました。 というのも新しい話書いててそれに詰まると、私は過去作の校正に逃げる悪癖がありまして。 そうしてる内にいいアイディアが浮かぶと これから各作品のプロット変更してでも組み込もうとするわけです。 そうすると結果として話が全然進まないので、 自分を追い込む意味でも容易に話を変えられないように投下してしまおうと思い立ちました。
↑言い訳タイム終了。以下テンプレと本編。
- 212 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:29:02 ID:riNkCTUQ
- ◇◇◇
喪失の憂いと理不尽に対する怒りが底に敷かれた女の言葉が森に響く。それは独白だった。もしもそれが雨の中で行われていたのなら、ちょうど映画のワンシーンにでもなったかのような物悲しさを感じられただろう。 だが降り注ぐのが肉の破片と血の欠片であれば、それは狂人の描いた絵画のようにしか感じられなかった。 「――私はいくつもの国を滅ぼしてきたが、その最後は常に同じものであった」 あ、と十叶詠子は短い呟きを洩らした。 体が動かなくなる。心は握りつぶされた紙屑のように一瞬で役立たずに成り果てた。 目の前で人が死んだことにではない。怪異を友としてみる彼女にとって、彼らが人を異界に引き込もうとして結果的に傷つけてしまう様を見ることはよくあることだ。人の生死では、魔女は揺れない。 「――飽和した下僕たちが私を殺せと叫び出す。それが常にわが栄華の終焉の象徴であった」 だが魔女は確かに震えていた。姫という存在を前にして。 あれは物語の中の存在ですらない。 異界の住人は基本的に好意的である。少なくとも、詠子の感性ではそうだ。 彼らは常に友達を欲していて、隙あらばこちら側の住人を自分たちの仲間にしようと思っている。 その彼らが、美姫の周りには誰一人として寄り付かない。 彼らは理解しているのだ。あれは、あの吸血鬼は異界にすら収まりきらない。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 213 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:30:18 ID:riNkCTUQ
- ◇◇◇
まるで指揮棒の如く掲げられた、吸血鬼のたおやかな細腕。それを一度振り下ろせば、発生した衝撃波は少女二人を粉々に打ち砕くだろう。 恐怖に縛られた少女と、自分に囚われた少女。この吸血鬼にしてみれば、どちらも同じく意味のない存在だ。 美姫がここに来たのは自分の"子"である聖の気配を追ってきたからである。 先の台詞の通り、美姫はもはやこの島に自分の下僕が増えることを望まない。 だから十数分前に遭遇した戦闘跡で感じた気配は、彼女の癇に触れてしまうものであった。 それは聖によって牙を打ち込まれたシャナの気配の残滓。粉々に吹き飛ばされ、ともすれば空気よりも薄いそれを、しかしもはや刻印に縛られることのない美姫は完全に知覚していた。 海野千絵という前科もある。自分が力を分け与えた彼女が、気ままに吸血鬼を増やしているというのは火を見るより明らかな事実であった。 だから、殺した。自分の子の気配なら今の美姫には十分探知することができる。 そして速やかな終幕のみを望むこの吸血鬼にとって、その場に運悪く居合わせた彼女たちを見逃す理由は無い―― (……いや) 無い、と思っていた。しかしその手が僅かに静止する。 もはや遊ぶような余裕は姫の中から失われていた。だが、ふとした思い付きについて、少しだけ思案する。 「――――。」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 214 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:31:42 ID:riNkCTUQ
- ◇◇◇
燃え盛るマンションの前で、三人の人物が相対しあっている。 「それはつまり――」 ダウゲ・ベルガーは、己の目の前にいる人物に対して警戒を解かなかった。自分が神野陰之の支配するあの空間から逃れてからすぐ、まるでタイミングを計ったかのように現れたこの男。 背後でへたり込んでいる海野千絵を庇う様にしながら、眼前のそいつに鋭い視線を注ぐ。 「俺達に協力するよう求めている、ってことでいいのか」 「その通りだ。まさか断りはしまいね? そうするように呼びかけたのは君たちだったと記憶しているが――」 ベルガーの問いかけに、どこか苦い表情を浮かべて返答するのは佐山・御言である。 ムキチに疲労を吸い取らせながらの全力疾走で辿り着いたのは、ダナティア達のグループが根城にしていたマンション。ここまで誰とも遭遇せずにこれたのは、幸運でもあり不運でもあった。 日頃の行いが良過ぎるというのも考え物だね、と佐山は胸中で独りごちる。 交渉にはカードが必要だ。それは例えば相手が欲しているモノや相手の弱みなど。そういったものが無ければ、交渉は単なる搾取の場となってしまう。無手で――非武装という意味ではなく――交渉のテーブルに付くというのは、蛮勇を通り越して無謀な行為だ。 佐山・御言はカードをほとんど持っていない。仲間は吸血鬼に壊滅させられ、こうして自分は敗走している。身一つと言っていい状態。できることなら、本命の相手との交渉に臨む前に、その途中で何か手札を増やしておきたかった。 (いや、それは虫が良すぎるかな――本来ならこうして無事に交渉の席につけたことを喜ぶべきなのだろうが) だがどうしてもそう思うことが出来ない。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 215 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:32:47 ID:riNkCTUQ
- 僅かな間を挟み、ベルガーが応えた。
「性急だな。ああ、性急だ佐山・御言」 「……答えになっていないようだが?」 応える。それは問いに答えを返すのでなく、ただ反応するという動作だった。ベルガーが続ける。 「案外、助けが必要なのはお前の方なんじゃないのか――前に会った時には苛々するほどのらくらしていたが、今のお前にはその余裕が一切抜け落ちている」 「――話を逸らさないで欲しいものだね。君達が助けを必要としているのはこの状況から確かなわけだが」 返しつつ、佐山は内心で唇を噛んだ。弱みに付け込む。交渉の席である以上、それは何も片方の専売特許ではない。焦りすぎてこちらの弱みを晒してしまうという自分らしくない失態。 「逸らしちゃいないさ。少しばかり結論を早めようと思ってるだけでな。つまり、俺たちは互いに協力が必要な状況なわけだ。なら当然、それは対等な条件のもとで行われるべきだろう?」 「……その条件とは何だね」 訊ねておいて、しかし佐山は次の相手の言葉を予測していた。この集団と自分のグループが掲げる思想で対立しあっている部分は―― 「簡単だ。もう隠す意味もないから言うが、見ての通り俺たちのグループは壊滅的な被害を受けた。襲撃と暴走と裏切りがほとんど同時に起こっちまったんでな」 パイフウ。フリウ・ハリスコー。光明寺芽衣子。そして折原臨也。 彼らのグループを粉々に引き裂いた者たち。内、半数はすでに放送で名を呼ばれたが―― 「俺は俺たちの横面を張った奴らを追うつもりだ――だからそれに手を貸せとは言わんが、邪魔をするな黙認しろ」 「それは――」 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 216 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:33:27 ID:riNkCTUQ
- (それでも、選ぶべきは――)
佐山は自分の胸に手を押し当てながら、前を向いた。 「――とりあえずどっちが折れるかは保留にして、形だけでも協力の態勢を取るべきだと思う」 声はベルガーの背後から。 ベルガーが振り返り、佐山がその向こうの人物の顔を視界に捉える。 「海野、千絵――」 「ごめんなさいベルガーさん。でもここで争っている時間はない、と思うの」 ゆっくりと立ち上がりながら、千絵は震える声で、だがそれでもその底に冷静な機知を働かせながら言葉を紡いでいく。 「残り人数と減少のペースから、乗った連中はまだかなり残ってると予想できるわ。信用できる人はかなり少なくなる。この佐山って人、前にベルガーさんが話してた平和主義者――少し違うのかもしれないけど、とにかく素性に関わらず参加者全員を仲間にしようって言ってた人でしょう? なら少なくとも、積極的に敵対しない、という点では信用が出来るんじゃないかしら?」 「こいつが言ってることが全部嘘だ、って可能性もあるが」 「意味が無いわ。実際、零崎っていう殺人鬼を仲間にしてるんでしょう? 演技にしても、わざわざそんな諸刃の剣を懐刀にするのは危険すぎる。 とにかく、よ。ここでお互い条件に納得できずに分かれるのは得策じゃないわ。少なくとも"その時"が来るまでは一緒にいて、一応の協力関係を取っておくのがベスト……ではないけど、ベターだとは思う」 意思の同調を取らず、"仮"という枕詞のついた同盟を結成する―― 通常なら、それは危うい行為だ。足並みが揃わなければ、一人が転んだだけで大惨事になりかねない。 しかし――そんな手段を取らねばならないほど状況は切迫していた。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 217 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:34:07 ID:riNkCTUQ
- ◇◇◇
暗い森の中、一人の少女が道を走っている。 彼女が足を踏み出すごとに。懐中電灯の頼りない明かりが新たな木々の根を照らしていく。だがその速度から、もはや彼女の体力はほとんど残っていないものと知れた。 彼女が生き残れた理由はただの偶然だった。彼女の持つ性質がどうこうというわけではなく、ただ運が良かった。それだけのことに過ぎない。 『――佐山・御言』 吸血鬼が呟いた単語の正体。それはとある人物の名前だった。 それに対する反応は二種。その人物を知っているか、知っていないか。 ("裏返しの法典"くん……) 十叶詠子がこうして生き残れたのは、佐山・御言を知っていたから。それだけの理由に過ぎなかった。 だが、それはただ死の予定が先延ばしになっただけなのかもしれない。 瞬時に爆散した朱巳の血を全身に浴びた詠子に、吸血鬼はある命令を下していた。 『佐山・御言に伝えよ。夜明けまでに私に告げた戯言を実行して見せろとな』 戯言――詠子の知る佐山・御言のイメージなら、おそらくその内容は脱出のためのアプローチ。 あの吸血鬼が何を企んでいるのかは詠子には分からない。それを佐山に伝えることによって、あの吸血鬼にどんな利が発生してしまうのか分かったものではない。 (省略されました・・全てを読むにはここを押してください)
- 218 名前: ◆5Mp/UnDTiI :2011/10/12(水) 00:36:37 ID:riNkCTUQ
- 投下終了ー。状態表はちょっとミス発見したんで後で投下します
|